水揚げ現場で魚種・サイズ・脂乗りを目利きし分別された鮪は、-70℃の超低温冷蔵庫へ運ばれますが、入庫時にも出刃包丁を使い目利きする専属社員がおり、さらに細かくランクごと振り分けられます。こうして一時的に保管された鮪は、八洲の目利き第2段階となる通称「尾切れ(おぎれ)」へ進みます。

「尾切れ」とは、凍ったままの鮪の尾の部分を裁断し、水に浸して解凍した断面を目視によりチェックする目利きです。中心にある背骨の周囲には深紅色の赤身があり、赤身の外側にある桜色の部位が脂です。(画像1枚目)出刃包丁による目利きよりも丁寧に身質や脂乗りを確認し、一本ずつ値段をつけていくので、より一層お客様の要望に沿った販売へつなげることができます。

まず脂乗りについては断面全体に占める脂部分の面積やキメの細かさを見ます。次に身質を見ますが、解凍後に起こる死後硬直で身が縮む方が鮮度の良い証拠となりますので、木の年輪のような構造をした断面が盛り上がってきます(画像2枚目の右側。薄くカットされた胴体スライスの方が顕著にみえる)。この現象を「ちぢみ」と呼び評価も高くなりますが、お客様の業務形態などによりちぢみ具合の少ない鮪を選ぶ方もいます。天然ものだからこその個体差により、ベストな味わいになるタイミングを見定める必要もあるようです。

平均300本を一度に目利きするこの作業は、時間と手間がかかっても欠かせない作業です。尾切れによる判定では1kg単価を数十円~数百円の値幅で振り分けていきます。昨今AIによる判定技術の開発も進んでいますが、判定基準の幅がまだ狭いため、人の目による目利きはこれからも続くことでしょう。尾切れの目利きをすることで、八洲の営業部はお客様の業態やコンセプトに合わせた提供が可能となります。
鮪にも旬があり、同じ魚種でも漁期・漁場・さらには漁船によって脂乗りや身質に個体差があります。それらを的確にランク分けする目利きは、一朝一夕で身につくものではありませんが、お客様の要望に応える為には重要な技術です。次回は加工場での目利きについてご紹介します。