水揚げから出荷までの全貌に迫る。

日本人の食生活を、味と彩で楽しませてくれる鮪。日本食文化を代表する寿司や刺身で多く使用され、私たちの生活でもよく食べるこの魚は私たちとは切っても切れない関係です。今回は、その鮪が水揚げ〜出荷されるまでの全貌に迫っていきます。

迅速に、丁寧に。これが鮪の水揚げ。

海で漁獲された鮪は、船内の冷凍庫で保管されます。数か月間に及ぶ漁を終えた漁船が港に着くと、待機していたクレーン車が鮪を次々と吊り上げて、作業台へと水揚げ。台上では、魚種とサイズごとに鮪を分類していきます。この時に一番大切なのは、冷凍状態の鮪が溶けないよう、迅速かつ丁寧に選別すること。水揚げ担当者が、常に意識して行っていることです。全ての選別が終わった鮪は、作業台に横付けされたトラックに積み込まれ、-70℃の超低温冷蔵庫に運ばれます。

長年の経験が成せる技。目と手の感覚で見極める目利き。

天然の鮪は獲った時期や漁場が同じでも、脂の乗り具合や赤身の質には個体差があります。そこで必要になってくるのが、長年の経験で培われた目と手の感覚を駆使して見極める「目利き」です。まず魚体の形を見て、鮮度を保った凍結か、脂が乗っているかなど品質をイメージします。次に、特殊な「出刃包丁」を鮪の身に刺し皮目の身をめくり、身の色や脂の質感を目視することで先ほどのイメージの答え合わせをします。さらに、鮪の尾をバンドソーで切り取り、解凍した断面を見ることで、より確実に選別することができます。これは、一つとして同じ物がない鮪と長きにわたって向き合い、見続けてきた職人にしかできないとても高度な技です。

熟練の職人が加工を担当。規格サイズに手際よくカット。

鮪の加工は静岡市清水区にある八洲商事で行っています。一本200kg超の天然本鮪から長い胸びれが特徴の袖長鮪(びんちょうまぐろ)といったさまざまな魚種を、熟練の技と豊富な知識を兼ね備えた職人たちが担当。バンドソーやグラインダーなどの機械を使用して、お客様のニーズに合ったブロック加工やテンパネ加工、サク加工などに、手際よく加工していきます。 宍原工場は2021年、厳しい審査をクリアし、食品安全システム認証「FSSC22000」を取得しました。今後もより一層、安全で安心な商品を提供していきます。

徹底した鮮度&品質管理。最良の状態でお客様の元へ。

冷凍鮪は、扱い方に難しさがあります。まず、魚を移動させる際に手鉤(てかぎ)を腹や背に刺して引っ張ると、身が傷付き品質が下がってしまいます。手鉤を使って一匹100kg以上もある大きな鮪を積み込む時は、血合いの部分だけを狙って刺し、身は傷つけないように配慮しています。また、少しでも温度が高いと身が溶けて鮮度が悪くなりますが、八洲運輸のドライバーは、鮪の鮮度も品質も決して落としません。超低温冷凍車で鮪を運ぶ際には前もって庫内を冷やしておき、ドアの保冷カーテンも小まめに閉めて冷気を逃がしません。こうした高い技術とプロ意識によって、魚を最良の状態でお客様の元へお届けしているのです。

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